「にぎわい空間研究所」は、リアル空間にしかできない新しいビジネス価値の在り方を研究します

研究レポート

「空中店舗フィル・パーク」 (コインパーキングと空中店舗の一体開発)

ワンストップ型空中店舗開発提案でコインパーキングオーナーの課題を解決
〜未活用空間ビジネスの新発想“フィル・パーク”〜

2018.07.27 facebook

編著:にぎわい空間研究所編集委員会
 コインパーキングの空中部分を未活用空間として捉え、地上に駐車場を残しつつ、2〜3階建ての空中店舗を開発する「フィル・パーク」という事業がある。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
コインパーキングと建物を両立させ、両方の賃料収入を得られる「空中店舗フィル・パーク」。

 その特徴は、土地活用を模索するコインパーキングのオーナーのニーズに応え、負担を抑えた初期投資を実現しつつ、企画から設計、入居するテナントの誘致保証までをワンストップで提供することだ。現在、その受注件数が増加しており、平成29(2017)年度末、フィル・パークの累計受注件数は123件に達した。
 フィル・パーク事業を展開する株式会社フィル・カンパニーは平成17(2005)年6月創業。同事業の堅調な成長を背景に、同社は平成28(2016)年11月には東証マザーズ市場への上場を果たした。
 今なぜ、フィル・パークに注目が集まっているのだろうか。その大きな理由はコインパーキングオーナーを取り巻く事情にある。
手軽に収入を得られる
コインパーキング事業
 現在、日本の都心部では「2020年東京五輪」に向けたオフィスビルの建設ラッシュ、各地での再開発プロジェクト、そして、インバウンド観光客の増加を見込んだホテルの開業が相次いでいる。例えば、東京駅周辺ではオフィスの貸付面積が平成28(2016)年から2025年までの10年間で154万㎡供給される。この面積は、平成27(2015)年の総貸室面積の4割にも相当するのだ。(※2)。
※2 平成25(2013)年12月〜平成28(2016)年11月竣工分、フィル・カンパニー調べ。
 その一方で、都心部でも表通りから数ブロック裏手に足を踏み込むと、ビルとビルの間にぽっかりと空いたコインパーキングが数多く現れる。下図が示す通り、現在、国内には6万カ所以上のコインパーキングがあり、その数は現在も増え続けている。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”

2005年から2015年にかけての全国のコインパーキング箇所数の推移。(一般社団法人日本パーキングビジネス協会「平成20年3月コイン式自動車駐車場市場に関する実態調査」「平成24年3月コイン式自動車駐車場市場に関する実態調査」「平成27年3月コイン式自動車駐車場市場に関する実態調査」より)

 従来の不動産業の常識では、都市部に土地を所有する土地オーナーがビジネスとして土地活用をする際は、建ぺい率や容積率が最大限の規模でビルを建て、テナントビルやマンションを経営することが一般的だった。だが、すべての土地がこういった規模の建物にふさわしい広さや形状であるわけではなく、また、誰もが数億円規模の投資ができるとは限らない。テナントビル建設の投資回収には一般的に20年以上は必要なので、経営上のリスクも大きい。
 かといって遊休地を更地のまま放置していては、相続税や固定資産税、都市計画税などを払えない。何も手を打たなければ、受け継いだ資産を手放しかねないのだ。
 有効な土地活用の代替案のひとつがコインパーキング事業である。数百万円規模の投資でコインパーキングを整備すれば現金収入が得られるし、運営会社と条件が合えば、契約を結ぶだけで初期投資なしでも安定した定額賃料という収入を得られるのだ。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
大手コインパーク事業者の事業モデルの例

 土地オーナーにとって、コインパーキングの賃料収入は土地を維持する税金を払うための重要な収入源となる。また、平成18(2006)年6月の道路交通法改正によって路上駐車の取り締まりが厳しくなってからは、コインパーキング利用への需要は高くなり、デフレ期でも売上が大きく減少しない点も土地オーナーには魅力的な事業なのだ。
 大きな投資をしてビルを建てるか、それとも手っ取り早くコインパーキングを始めて税金の支払いをしのぐか。そんな土地活用の二者択一に一石を投じたのがフィル・カンパニーの展開する土地活用法「フィル・パーク」なのである。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
 
フィル・パークは5年から20年の活用期間を想定しており、コインパーキングとビルやマンションの間に位置する投資モデルである。
年間20件以上のペースで増加する
空中店舗「フィル・パーク」
 フィル・パークの一般的なモデルを紹介しよう。鉄骨工法による3階建ての建物が多く、1階はコインパーキングで、2階と3階にはテナントが入っている。店舗のほとんどがガラス張りのデザインなので夜間になると内部の光を外に放つ。その光景はまるで、コインパーキングの上に「空中店舗」が浮かんでいるかのようだ。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
(左上から時計回りに)「フィル・パーク 五反田」「フィル・パーク 吉祥寺」「フィル・パーク 京都河原町」「フィル・パーク 成城学園前Ⅱ」

 コインパーキングとテナントビルを両立させたことで、土地オーナーはその両方から賃料を得られる。30坪〜50坪の平均的なプロジェクトで初期投資は約8,500万円。利回り平均は年20. 6%(※3)である。3〜5年で投資回収を終える物件も多く、その後は安定的な収入につながっていく。
※3 平成25(2013)年12月〜平成28(2016)年11月竣工分、フィル・カンパニー調べ。
 フィル・パークは、一見するとコインパーキングの土地に建物を建てただけと思われがちだが、実はさまざまな工夫が凝らされている。その考え抜かれたビジネスモデルは、「都市部における土地活用の第三の極」となりうる可能性を秘めているのだ。フィル・パークの受注件数は、平成27(2015)年以降は年間20件以上のペースで増加しており、平成29(2017)年末現在で123件に達している。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”

フィル・パークは、会社創業から数年間は年間数件の実績しかなかったが、年を追うごとに物件数が急増している。
課題解決の壁から生まれた
フィル・パークの独創性
 フィル・パークの特徴は、その独創性が土地オーナーの課題解決から生まれたモデルということだ。フィル・カンパニー代表取締役社長の能美裕一氏は次のように語る。
「弊社には『人の営みを途切らせない』という考えが根幹にあります。今、土地オーナーの方々は、日々の営みを続けていくうえで必要な土地活用の切り札がなくて困っています。だからこそ、真に必要とされているものを提供する。長期間にわたり事業を継続できるフィル・パークの本質はそこにあるのです」
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
フィル・カンパニーに参画する以前は、データベースマーケティングや新規事業の開発を手がけてきた経験を持つ代表取締役社長の能美裕一氏。
 コインパーキングと空中店舗を融合させるフィル・パーク事業は、ポイントとして大きく以下の3つが挙げられる。
1)安定収入を維持するために
  設計ノウハウで駐車台数を確保
 フィル・パークの導入を検討する土地オーナーは、コインパーキングを実際に経営しているケースがほとんどだ。都市部のロケーションであれば、1台あたり月10万円の賃料収入を得られるコインパーキングはざらにある。オーナーにとって駐車場収入の維持は死活問題なので、空中店舗を建てたことで駐車場が大幅に減ってしまうと本末転倒になってしまうのだ。
 フィル・パークでは建設費用を抑えるために、鉄筋コンクリート工法(RC造)ではなく、鉄骨工法(S造)を採用している。鉄骨の長さの規格は6mもしくは10m。駐車場区画には1台あたり幅2.5mは必要であり、2台分で5mとなる。40cm角の柱を建てていきながら、法律と鉄骨の制約のなかで建物下に効率よく駐車場を配置していくのである。そのため、設計ではセンチ単位のせめぎ合いをしながら、より多くの台数の駐車場空間を確保しなければならない。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
「フィル・パーク荻窪」の建設前と建設後。1階を駐車場空間として残し、駐車台数をできるだけ確保した。

「日本の厳しい建築基準法や消防法に準拠しながら建物を設計すると、もともと10台置けたコインパーキングに5台分ぐらいしか駐車できなくなるケースはざらにあります。台数を減らせば、オーナーの賃料収入は減り、キャッシュフローが途絶えてしまいます。いかに駐車台数を確保するのか? そこに挑戦しようとすると、“10cmの美学”にこだわらざるをえないのです。弊社は、そのこだわりによって駐車台数を最大限残す設計ノウハウを蓄積してきました。従来の土地活用は、広い土地に既存の仕様の建物を作るだけです。一般的な設計士は“10cmの戦い”なんて、やりたがりません」(能美氏)
 なお、前述の鉄骨による工法は、構造がとてもシンプルなので、解体する際にもコストを抑えられるというメリットがある。投資回収後に近隣で大規模開発が起きた場合に、更地にして開発に参加する選択肢も残されているのである。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
フィル・パークは駐車場とテナントの両方の需要に応えながら、地主の投資対効果を最大にする建築物を提案する。
2)優良なテナントを誘致し
  賃料収入を保証
 フィル・カンパニーは土地オーナーに対してフィル・パークに入居する初期テナントの誘致を保証する。テナントの業種は飲食店、フィットネスクラブ、女性専用シェアハウス、ホステル、ショールーム、オフィスなどさまざまだ。オーナーとテナントは貸借期間を定めた「定期借家契約」を結ぶため、土地オーナーには契約期間中の総賃料が保証されることになる。オーナーは投資回収の目処が立った上で安心してフィル・パーク事業をスタートできるのだ。
 コインパーキングの売上とテナントによる賃料収入によってオーナーは安定的な収益を確保する。フィル・パークの平均的なプロジェクトの規模は30坪〜50坪の敷地で投資額8,500万円。平成25(2013)年12月から平成28(2016)年11月に竣工した物件の表面利回り年20. 6%を達成している。この結果、フィル・パークは「不動産の投資回収は20年」というこれまでの業界の収益常識を大きく上回り、5年〜10年という短期間での投資回収を可能にした。3年間で投資回収の目処がつく物件もあるという。フィル・パークは、不動産投資の常識を覆してしまった破壊的ビジネスモデルなのである。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”

受注単価の構成。2300万円〜6000万円が25.9%、6,000万円〜8,000万円が24.1%。8,000万円〜1億が20.7%、1億〜2億7,000万円が29.3%。受注単価平均は約8,500万円。

 フィル・カンパニーがテナントを誘致できる背景には、同社独自の考え方がある。
「コインパーキングがあるのは人の多いエリアにありますが、裏通りに立地していることが多く、夜になると真っ暗で寂しい雰囲気になります。そんな場所ににぎわいを生み出すには、その土地に合ったテナントを誘致する必要があります。弊社では『スペース・オン・デマンド』を提唱し、それぞれの土地に合った機能を考え抜き、それに適した空間を実現することでテナントをマッチングしていきます」(能美氏)
 最近は「隠れ家」であることも飲食店の魅力のひとつだ。「ぐるなび」や「食べログ」などのグルメサイトにあえて登録せずに、独自のサービスに注力する店舗も増えている。フィル・パークの店舗は大通りから入った裏通りにあることが多い。明かりが乏しくなりがちな裏通りで、ガラス張りのフィル・パークの外観は魅惑的な存在感を放つ。「こういった店舗を『かっこいい』と思ってくれる30代、40代の飲食店経営者が増えたのもフィル・パークには追い風」と能美社長は語る。
3)企画、設計、建築までを
  ワンストップで提供
 土地オーナーにとって魅力的なメリットが詰まったフィル・パークだが、フィル・カンパニーが担う業務は、コンサルティング、マーケティング、企画、テナント誘致、設計、建築など多岐にわたる。特筆すべき点は、これらの業務を、フィル・カンパニーと子会社の株式会社フィル・コンストラクション、そして社外のリソースで調達し、ワンストップで提供する総合サービスを構築していることにある。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
フィル・パーク事業がカバーする業務領域

「フィル・パーク事業は建築業よりも、顧客の課題を解決するソリューション事業の色合いが強いですね。チーム単位でスピード感をもってプロジェクトを回していきます」(能美氏)

 顧客の利益を最優先したソリューションをワンストップで実現するフィル・パークだが、その原動力は創業期の苦難にあったという。駐車場の空中に店舗を設けるという画期的なビジネスモデルで事業をスタートしたが、具体化が思うように進まかった時期があった。ベンチャー企業ゆえの信頼度の低さもあった。
 平成21(2009)年、取締役としてフィル・カンパニーに参画した能美氏はアイデア先行であった当時のフィル・パークを収益事業として成立するビジネスモデルへと転換するために、関心をもってくれた土地オーナーのもとに通い続け、信頼を得られるまで課題解決の提案を作り続けた。オーナーの求めに応え続けながら、能美氏は自らが事業シミュレーションできる知見を蓄積していったのである。
「当初、実績がなかなかできないなか、ある世界的なブランドから『フィル・パークの建物は独特の世界観を出せるから作ったら出店したい』と言っていただきました。実績の少ない弊社には社会的な信用がなかったので、コインパーキングのオーナーにそういった知名度の高いテナントを具体的に提案することで、はじめて契約を考えてもらえたわけです。これはチャンスだと思いました。そこで、思い切って初期テナント誘致保証を打ち出したのです」
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”
能美氏が担当した「フィル・パーク 名古屋栄」(平成23(2011)年9月竣工)。テナントには世界的ファッションブランド「ARMANI EXCHAGE」が出店した。
 初期テナント誘致保証だけでなく、オーナーへの企画提案、設計、運営、管理までをワンストップで手がけるようにした。それらはいつしかフィル・パークの付加価値となっていった。土地オーナーが納得し、その施策を受け入れてくれるというハードルを越えようと愚直に努力を続けた結果が現在のフィル・パーク特有の事業モデルをかたちづくったのである。
 この他にもフィル・パークは、屋上の緑化推進による建物の付加価値向上、2〜3階の設計でエレベーターを設けないことによるメンテナンス費用の低減、駐輪場導入による狭小地や変形地への対応など、コインパーキングオーナーにとって魅力的な企画を次々に具現化していった。
不動産パラダイムシフトに備え
第三の極としての認知を高める
 平成28(2016)年11月、フィル・カンパニーは東証マザーズ市場において株式公開を果たした。だが、いまだ「コインパーキング+空中店舗」という同種のビジネスを展開する競合他社は現れていないという。
「フィル・パークのビジネスはネットやゲームと違って、ハードを作るリアルな事業。実績を作り、ビジネスモデルが確立するまで時間がかかると当初から思っていました。しかし、その間にいかに参入障壁を高くするか? 大手企業が手掛けないこと、手間のかかることをいかに効率化し、日々改善しながら利益を生み出すか? そこが重要だと思います。地道に積み上げてきた助走期間があるので、そう簡単には真似できないと思います」(能美氏)
 フィル・カンパニーは、既存のコインパーキングの賃料収入を可能な限り確保すべく駐車場の台数を保持することにこだわった。そして空中店舗には優良なテナントを自社の責任で誘致し、定期借家契約を締結することで賃料を保証した。そして、コンサルティングから建設工事までのすべてのプロセスをワンストップで提供するというビジネスモデルを構築した。しかも、それまでは20年はかかると言われてきた不動産投資回収の常識を覆し、5〜10年という短期回収を可能にしてしまった。こういった駐車場オーナーの切実なニーズに応える前例のない低投資高収益モデルを開発したことこそが、同社に「先行者利益」をもたらしているのである。
 今後、フィル・カンパニー、そしてフィル・パークはどのように成長していくのだろうか?
「2020年の東京オリンピックに向けて建築需要が高まっていく一方で、国内では加速度的に人口が減少していきます。人口が減少した時に残るのは求められているものだけです。そのタイミングで、私は国内の不動産業界で大きなパラダイムシフトが起きると考えています。都市部における土地活用の “キラー・コンテンツ”としてのフィル・パークの存在感が高まるはずです。私たちはフィル・パークに需要があることを日々実感しています。パラダイムシフトが起きた時に、土地オーナーが安心して注文できるまでにフィル・パークの認知度が高まっていて、企業として強い組織になっていれば、必ずや土地活用の『第三の選択肢』になれるはずです。」
 フィル・カンパニーでは、従来の土地オーナーからの請負受注型の案件に加えて、SBIマネープラザ(株)と業務提携を行い、小口投資を募ってフィル・パークを開発し、販売していくモデルも展開していく考えだ。戦略的にフィル・パークを増やし、来るべきパラダイムシフトに備えるのが能美氏の戦略である。
 
コインパーキングの“空中”に発見した全国6万カ所もの“未活用空間”

SBIマネープラザとの提携によるフィル・パークの開発モデル
開拓したのは駐車場市場の0.2%のみ
顧客の感動こそが未活用空間を動かす
 フィル・パーク事業が軌道に乗る前、実績のなかったフィル・カンパニーを信頼してくれた土地オーナーたちがいた。その信頼に応えるべく、ただ誠実に仕事を続けた能美氏。厳しい要求を続けてきたオーナーたちは、ある時点になると「能美さん、もういい。俺がフィル・パークを選んだんだ。責任はすべて俺にある」と言ってくれた。そして、フィル・パークが完成すると入居したテナントに近隣の人々が集い、笑顔に溢れる「にぎわい」の情景が現れる。
 能美氏は、「何年仕事をしても、その光景を見ると感無量です。私はフィル・カンパニーに参画する以前、さまざまな商品を売ってきましたが、こんなに喜んでもらえる商品はありませんでした」と感慨深く語る。
 未活用空間を活用する。そのニーズはいたる所に存在する。だが、それだけではビジネスは成立しない。能美氏は自身の方法論をこんな言葉で語ってくれた。
「お客様の本当にほしいものを『これですよね』と見せてあげる。『シーズ(種子)』を『ニーズ(必要)』に変えていく。でも、ニーズだけでは飯は食べられない。お客様が『ほしかったのは、それだよ!』と言ってもらった時に初めて物事は動き始めます。そこには必ず『感動』があるのです」
 前述の通り、現在、全国には6万箇所以上のコインパーキングが存在する。フィル・パークの実績は123カ所であり、まだ市場全体の0.2%にしか及ばない。平均受注額8,500万円から試算すると、その市場規模は約5兆円にも及ぶのである。
 今後、フィル・カンパニーが日本の都市部の風景をどのように変え、どんなにぎわいを生み出していくか、ぜひ注目していきたい。
<Data>
名称:フィル・パーク
業種:駐車場を活用した空中店舗
事業開始:平成17(2005)年6月
展開数:123カ所(平成29(2017)年度末時点での累計受注件数)
ウェブサイト:http://philpark.jp

事業主体:株式会社フィル・カンパニー
本社所在地:〒102-0071 東京都千代田区富士見二丁目12-13
      フィル・パークKaguLab.IIDABASHI
会社設立:平成17(2005)年6月3日
従業員数:28人(平成29(2017)年11月末現在)
代表者:代表取締役社長 能美裕一
資本金:5億8,414万2,000円(平成29(2017)年11月30日現在)
事業内容:駐車場を活用した空中店舗フィル・パーク事業
上場市場:東京証券取引所マザーズ市場(証券コード:3267)
ウェブサイト:http://philcompany.jp

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