「にぎわい空間創出FORUM2017」開催!
〜リアル空間産業の未来を創る新たな領域を提唱〜

 
 
 

 平成29(2017)年2月14日、豊洲シビックセンター(東京都江東区)で「にぎわい空間創出FORUM2017」が開催されました。主催はにぎわい空間創出FORUM2017実行委員会(共催:㈱フジヤ、企画・運営:にぎわい空間研究所)。
フォーラムは“Exhibition”と“Conference”の2部構成。シビックセンター5階のホールとホワイエ(ロビー)の全体を使いながら様々な要素を盛り込み、ハードとソフトの両面からリアル空間産業の未来ビジョンを探っていきました。当日の来場者は210名に上りました。
 
 
 ① Exhibition
 「リアル空間を活性化させる新技術プレゼンテーション&ワークショップ」
  ㈱キャドセンター
  ピーディーシー㈱
  ㈱シーマ
  ㈱ピクス
  共同エフテック㈱
 
② Conference
   1)企画・運営者 挨拶
   『にぎわい空間創出FORUM2017開催にあたって』
    にぎわい空間研究所 所長 中郡伸一

 
   2)基調講演
   『リアル空間産業の未来〜「リバーチャル空間産業」の創造を目指して〜』
    ㈱池澤守企画 代表取締役 池澤守氏

 
   3)パネルディスカッション
   『リアル空間産業の未来ビジョン』

       パネリスト
 
       モデレータ
     池澤守氏㈱池澤守企画 代表取締役)
 
       コンダクター
     入谷義彦にぎわい空間研究所 主席研究員)
     那須野純志にぎわい空間研究所 主席研究員)
 

     事業の背景と狙いについて
     テーマ01 : リアル空間ならではの価値とは何か?
     テーマ02 : バーチャルといかに連携をするのか?
     テーマ03 : リアル空間産業を活性化するための提言
 
   4)『ディスプレイ産業の未来ビジョン』
    永田智之(にぎわい空間研究所 特別顧問/㈱フジヤ 代表取締役社長)

 
※タイトルクリックでページへ移動します。

①  Exhibition 

 
「リアル空間を活性化させる新技術プレゼンテーション&ワークショップ」
 
 14時30分からExhibitionがスタート。テーマは、「リアル空間を活性化させる新技術プレゼンテーション&ワークショップ」です。参加企業は㈱キャドセンター、ピーディーシー㈱、㈱シーマ、㈱ピクス、共同エフテック㈱の5社。
 ホールでは参加企業によるプレゼンテーションが展開され、各社の商品やサービスの紹介とともに、各分野の最新動向が紹介されました。また、ホワイエでは体験デモンストレーションを実施。来場者にとっては、各社の機器やサービスを実際に体験する機会になりました。
 
 
 
 
 
 

プレゼンテーション01  ㈱キャドセンター
プレゼンター:佐々木透氏(プロデュースグループ営業2部主任)
「VR導入によるバーチャルと現実の融合空間の可能性」

 
最新の映像技術を駆使し、
地中に埋没した遺跡を体感
 
 キャドセンターは3D技術をベースとしたVR、AR、3DCGなどの技術と4Kやドローンなどの撮影技術を応用しながら、分かりやすいコンテンツづくりで数多くの実績があります。登壇した佐々木氏は、「VR導入によるバーチャルと現実の融合空間の可能性」として、同社が手がけた佐賀県の「三重津海軍所跡」のプロジェクトを紹介しました。

 
 同跡地は2015年7月にユネスコ世界遺産登録された「明治日本の産業革命遺産」のひとつです。しかし、遺跡そのものは地中に埋没しているので、この遺跡を見える化するために、3DCG、VR、HMD、ウエブなどの技術を駆使し、来場者が海軍所を体感できるシステムを構築しました。
 
 なお、会場のホワイエでは同プロジェクトで使用したVRの体験デモンストレーションを行いました。
 
㈱キャドセンター

http://www.cadcenter.co.jp

 

三重津海軍所跡
http://mietsu-sekaiisan.jp

プレゼンテーション02 ピーディーシー㈱
プレゼンター:小澤正俊氏(システムビジネス部事業開発担当部長)
「デジタルサイネージ新時代」

 

建築の意匠に合わせたサイネージを
コンテンツとともに提案する時代へ

 

 ピーディーシー㈱は、デジタルサイネージの納品・施工から運営・保守管理、そしてコンテンツ制作までワンストップで提供する会社です。2001年の設立以来、15年間で2万件以上の実績があり、商業施設への納品では国内トップシェアを誇ります。
 
 小澤氏はデジタルサイネージ活用の現状と今後の方向性についてプレゼンテーション。まず、①施設での情報表示、②タッチパネルに多言語の情報案内、③ウエブやモバイルとのコンテンツの共有化、④モーションセンサーを使った体験型システム、⑤顔認証を行う自動販売機などリアルタイムで情報収集、マーケティングを行うシステムなどを紹介しました。
 
 また、小澤氏は今後の方向性としてはロサンゼルス国際空港の海外事例などを紹介しながら、「建物の意匠に合わせて軽量・高輝度のLEDディスプレイをコンテンツとともに提案するのが一般的になっていくでしょう」と指摘。
 
 ホワイエでは、「ミラーキオスク」やユーザーを感知してディスプレイの高さを自動調整する「バリアフリーキオスク」などを展示しました。
 
 

ピーディーシー㈱
https://www.pdc-ds.com

 

ロサンゼルス国際空港の映像空間

 

プレゼンテーション03  ㈱シーマ
プレゼンター:大木真也氏
(営業企画本部セールスプランニンググループEAST部長)
「最新映像装置・技術」

 
映像、音響、照明を連動させた
総合的な空間演出が世界の潮流
 

 ㈱シーマは映像と音響を駆使した演出に関して、企画立案から設計、施工、保守管理までを総合的に提供する会社です。今回のフォーラムでは、ステージのLEDビジョンを含む映像や音響の演出にも全面的に協力していただきました。
 
 登壇した大木氏は2月初旬にオランダで開催された音響と映像の国際見本市「Integrated Systems Europe 2017(ISE2017)」における世界的なトレンドについてプレゼンテーションを行いました。
 
 まず、LEDディスプレイについては、現状ではドットピッチ1.2mmが高精細パネルの標準ですが、0.7mmピッチの製品が参考出品されていたことを紹介。また、キューブ型、床で踏めるタイプ、シースルー型などの形状も多様化しています。LEDだけでなく有機ELを光源とするディスプレイも実用化が進んでおり、厚さ3.65mmの壁に貼れるディスプレイを紹介しました。
 
 また、色再現性に優れたレーザー光を光源とする液晶パネルの実用化も進んでいるといいます。大木氏はプロジェクターやLEDディスプレイ、産業用ロボットや昇降装置を組み合わせた空間演出も紹介。大木氏は「世界的には、映像、音響、照明を連動させたトータルな空間演出が最近のトレンドになっている」と締めくくりました。
 
 
㈱シーマ
 
ISE2017

プレゼンテーション04  ㈱ピクス
プレゼンター:弓削淑隆氏(プロデューサー、テクニカルプランナー)
「リアル空間における映像表現の可能性」

 
空間を映像メデイアとして活用し、
非日常のエンターテイメントを作る
 
 ㈱ピクスは、ミュージックビデオ、コンサート演出から3Dプロジェクションマッピング、空間演出などを手がける映像制作会社です。
 
 登壇した弓削氏は、まず「その場所、その地域、その実体ならではの映像表現」について事例を紹介。同社では福島県の鶴ヶ城では復興支援として2013年から5年連続で3Dプロジェクションマッピングを手がけました。NHK大河ドラマ『八重の桜』とコラボレーションしながら、地元の歴史や文化を見つめた映像の内容にすることで、そこでしかできない価値を提供したことを説明しました。
 
 また、「空間という未知の可能性をもったメディアを使った映像の表現」についても言及。新潟県直江津市の国際石油帝石の『INPEX MUSEUM』での事例を紹介しました。同ミュージアムでは、天然ガスを実感してもらうための映像空間を制作。天然ガスが生まれた恐竜の時代まで時空を移動する映像体験によって、より身近に天然ガスを体感できる展示を実現したといいます。
 
 弓削氏は「空間を映像の新しいメディアとして活用することで、かつてない非日常のエンターテイメントを作ることがきる。それがメディアとしての空間の魅力」と締めくくりました。
 
㈱ピクス
https://www.pics.tokyo
 
INPEX MUSEUM

プレゼンテーション05 共同エフテック㈱
 

 短時間で顔写真入カードを作成する
カードシステムサービス“Memories”を紹介

 
 共同エフテック㈱は“Memories”のシステムを紹介。受付を済ませた来場者は、タブレットで顔写真を撮影し、わずか1分後には顔写真入りのIDカードが完成するシステムを体験しました。
 
 
共同エフテック㈱
http://www.ftech-c.co.jp/

②Conference
 1)企画・運営者 挨拶

 
16時からはホールにて“Conference”がスタート。まず、にぎわい空間研究所の中郡伸一所長が登壇し、フォーラムの開催趣旨や研究所の活動内容を紹介しました。
 
 
「にぎわい空間創出FORUM2017開催にあたって」
にぎわい空間研究所 所長 中郡伸一
 
 本日はお忙しいなか、「にぎわい空間創出FORUM 2017」にご来場いただきまして誠にありがとうございます。あつく御礼申し上げます。このフォーラムを企画しました、「にぎわい空間研究所」を代表し、フォーラム開催の趣旨についてご挨拶させていただきます。
 
 本フォーラムは二部構成です。「Exhibition」ではリアル空間を活性化させる新たな技術、装置、手法などをご紹介するプレゼンテーションと、実際のデモンストレーションによって、みなさまに体感していただきました。新たな空間創造のヒントになったでしょうか。ここからは、いよいよフォーラムの本題に深く切り込んでいく「Conference」を展開していきたいと思います。
 
 
リアル空間産業が抱える課題を共有し、
新たな空間価値の創造を探求する
 
 
 さて、ご来場のみなさま方は、リアル空間産業の現状をどのように見ていますか。にぎわい空間研究所ではリアル空間産業の危機的状況を、“Real Rescue!”と表現しています。
 
 今世紀に入って生じた情報技術革新がもたらしたICT革命は、ネット全盛という驚異的な社会変化を引き起こして、世界を一変させました。今、私達のリアル空間産業は変革の波にさらされています。
 
 あらゆる市場、あらゆる業種で、デジタル化とオンライ化が急速に進み、リアルな場、空間の概念、空間の価値が根本的に変化していき、リアル空間産業を苦境に追い込んでいます。
 
 そんなリアル受難の時代に於けるリアル空間産業の在り方とは?
 ディスプレイ業界が取り組むべき新たなリアル空間ビジネスの方向性とは?
 
 こうしたリアル空間産業が抱えている課題をみなさまと共有し、リアル空間産業活性化のために、新たな空間価値の創造を探求し、リアル空間産業の未来に向けたビジョンを確立するために、「にぎわい空間創出FORUM2017」の開催を企画いたしました。
 
 
リスク覚悟で挑戦する
“ファーストペンギン”に注目
 
 
 にぎわい空間研究所は、㈱フジヤの研究機関として設立されました。本格的な対外活動をスタートしたのは平成28(2016)年の4月です。まだまだ小さなムーブメントしか起こせていませんが、リアル空間産業において空間がもたらす新たな価値創造の在り方を研究し、千客万来のにぎわいに満ち溢れた空間を創出することで、豊かなコミュニケーション社会の創造に寄与することを目指して活動しています。
 
 にぎわい空間研究所ではリアル空間ならではの新価値創造に挑む勇気ある先進事例の担い手を「ファーストペンギン」とお呼びしています。
 
 ファーストペンギンとは、群れで行動するペンギンの中で、魚を獲るために一番先に海に飛び込む、勇気あるペンギンのことを指す言葉です。ファーストペンギンのおかげで後から続くペンギンたちは、安全を確かめてから海に入ることでリスクを回避することができるのです。
 
 海にはペンギンの天敵であるシャチやトド、オットセイなどの肉食獣が、今か今かとペンギンが海に飛び込んでくるのを待っているかもしれません。しかしペンギンも魚を食べなければ、生きていけないというジレンマがあります。群れの中に留まっていれば、集団の力で身の安全は確保されますが、生き残るためには、エサは自分自身で獲らなければなりません。
 
 ファーストペンギンは命を落とすかもしれないハイリスクを背負いながらも、魚たちに気づかれずに真っ先に捕獲のチャンスを手にします。一方、後から大量のペンギンが海に飛び込んでくると、海は荒れ、魚に気づかれて、獲物を逃してしまいます。
 
 ファーストペンギンはハイリスクを取るものの、ハイリターンを得るチャンスが多いということです。逆にセカンドペンギン以降はリスクが少ないものの、得られるリターンが少なくなります。リスク・リターンの関係性を投資や起業家たちの成功事例になぞらえ、「ファーストペンギン」という言葉は、ビジネス用語として使われるようになりました。
 
 ICT革命を生み出す旗手となったアップルやマイクロソフト、グーグル、Facebookなどを創業した人たちは、まさしくファーストペンギンと言えるでしょう。
 
 では、リアル空間産業におけるファーストペンギンはどんな方々なのでしょうか。このあとのパネルディスカッションでは、にぎわい空間研究所が注目し、研究事例に取り上げた3人のファーストペンギンの方々にご登壇いただきます。リアル空間ならではの新価値創造の挑戦にについてご教示いただきます。
 
 にぎわい空間研究所では、こうしたファーストペンギンの方々を研究し、その先進事例に秘められた新たな事業チャレンジの軌跡を探求し、その英知とメソッドを研究レポートにまとめてウエブサイトで一般に公開しています。
 
 

新たなにぎわいを創出する
共同研究開発を推進

 
 
 にぎわい空間研究所のもうひとつの活動の主軸にしているのが、共同研究開発です。
 
 本フォーラムのExhibitionにもご参加いただいたパートナーの各社をはじめ、新たなにぎわいを創出するための仕組みや技術、コンテンツについて研究者、事業者、メーカーの方々と共同研究を行います。開発されたツールやサービスが事業化され、リアル空間ビジネスの活性化につなげていければと考えております。
 
 現在は、集客に関する複合的なトータルソリューションサービスの共同研究開発を進めています。リアル空間ビジネスの活性化のために、共に研究開発を行うアライアンスパートナーを大募集しています。互いの得意分野をマッチングさせて、にぎわい空間創出のための新たな仕掛けをプロデュースして参りましょう。多くの企業・大学・団体の方々のエントリーをお待ちしております。
 
 
Innovation Spiritsを共有し、
具体的なNext Actionに挑戦しよう
 
 
 リアル空間には新たなにぎわいを創出させる力が無限大にあると確信しています。固定観念に捕われない、常に新たな発想力でものを創造する。まさに、それは“Innovation Spirit”です。この“Innovation Spirit”をみなさまと共有して、リアル空間産業の未来構築に向けた具体的なNext Actionにチャレンジしていきたいと思います。
 
 それでは限られた時間ではございますが、最後までお付き合いくださいますようよろしくお願い致します。ご清聴ありがとうございました。

②Conference
 2)基調講演

 

 中郡所長の挨拶に続き、㈱池澤守企画 代表取締役 池澤守氏が「リアル空間産業の未来」のテーマで基調講演を行いました。
 
 
『リアル空間産業の未来〜「リバーチャル空間産業」の創造を目指して〜』
㈱池澤守企画 代表取締役 池澤守氏     
 
 ご紹介にあずかりました池澤です。本日はよろしくお願いいたします。
『リアル空間産業の未来〜「リバーチャル空間産業」の創造を目指して〜』
というタイトルで、空間の未来像を私なりに提言したいと思います。
 
 大学を卒業して、入社したのがゲーム会社のナムコです。一昨年に定年退職し、企画の個人事務所を設立しました。ゲームの会社に入りながら、ゲーム以外の新しい遊びを切り開く企てごとばかりをやってきました。なかでも、在職期間の後半は、『ナムコ・ワンダーエッグ』や『ナンジャタウン』などのテーマパーク、『横濱カレーミュージアム』や『自由が丘スイーツフォレスト』などのフードテーマパークなど、場における新しい可能性を切り開くことをテーマに歩んできました。
 
 しかしながら、ここ十数年は、「働いても働いても儲からない」というのが、リアルな空間の仕事に携わる方々の共通した意見です。大きな理由にICT革命、情報通信技術の驚異的な発展があります。そういう環境でリアルの未来はこのまま放っておいたら飲み込まれてしまうのでは、という危機感があります。
 
 ただ、一方で人間が肉体をもち、場において生活しなければならいない以上、リアルには絶対未来があるはずだと思います。そこで、私はリアルとバーチャルが融合した第3の空間、それを「リバーチャル空間」と名づけさせていただいています。そこに巨大な新しい産業が生まれるはずだと考えています。今日は、そういった提案についてお話をさせていただきます。
 
 
ICT革命がもたらした
破壊的なイノベーション
 
 
 まず、ICT革命です。ある時期まではIT革命と言われていましたが、そこに通信、つまりコミュニケーション、とりわけSNSなどの新しいコミュニケーション手段の猛烈な発展によってICT革命と呼ばれるようになりました。
 
 ICT革命はとても便利な生活を僕らにもたらしてくれています。その結果として何が起きているのか?
 
 
 
 
 

 端的な例としては、SNSの牽引者であるFacebookは2005年に創業し、100万人が利用した時代から、たった6年後に全世界9億人の利用者に達しています。猛烈な急成長を遂げました。これが破壊的なイノベーションを起こしているわけです。

 
 

1997年、「インターネットで⼈は物を買わない」と
⾔われた時代に誕生した『楽天市場』は、
流通業界に破壊的イノベーションを引き起こし、
14年後の2011年には年間流通額1兆円を突破した。
現在は3兆円。

 
 

2013年の国内EC市場は、11兆1660億円に成⻑。
全商取引に占めるEC化率は3.7%。
その6年後の2020年には、市場規模20兆円、
EC化率6〜7%にまで倍増すると想定されている。

 
 
 上部のグラフはECサイト(ネット通販)の楽天市場における流通額の推移です。スタートは平成9(1997)年。ネットが信用されていない時代でした。その14年後の平成23(2011)年に1兆円を突破しました。現在は3兆円を超えています。
 
 下部のグラフは楽天市場を含めたEC市場(ネット通販市場)の全体の流れです。平成25(2013)年の国内市場規模は11兆円に達しているそうです。平成32(2020)年には20兆円になるだろうと予測されています。小売りに占めるシェアとしては、2013年に約4%、2020年には6〜7%にまで伸びていくとされています。さらにその先は当然、伸びていくわけです。その分だけリアルな小売り市場が奪われています。
 
 
 「フリー」「ソーシャル」
 「モバイル」による価格破壊
 
 
 この劇的な変化は、顧客に対する革命的な価値の提供によって生まれています。私は、その価値を「フリー」「ソーシャル」「モバイル」の3つであると定義しています。
 
 「フリー」とは「フリーミアム」。ネットで提供されるアプリやSNSは無料(フリー)で使えます。一部の特別なサービスを受ける時だけ、有料課金(プレミアム)になります。誰もが気軽に無料で利用できるフリーと、ごく一部の人しか使わないけれど、有料サービスのプレミアムを組み合わせた「フリーミアム」が特徴です。これは価格破壊以外の何物でもない。リアルには絶対に真似ができないことです。リアルはこれを乗り越えなければなりません。
 
   次は「ソーシャル」です。SNSやブログなど、さまざまなソーシャルメディアであり、これにより新しいコミュニケーションの時代を生み出しました。かつては、人々は、マスコミ4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)からの一方通行の情報のなかで生活をしながら、友人、知人とはリアルな場で会って、おしゃべりをする必要がありました。ところが今は、それがネットですべて済んでしまいます。ですから、電車の中はスマホだらけという状態が続いています。
 
 3つめは「モバイル」です。スマートフォンは歩くモバイルパソコンです。スマホさえあれば、「いつでも」「どこでも」「誰とでも」つながれます。さらに、ありとあらゆる無料アプリで時間がつぶせます。もはや暇つぶしをリアルでやる必要がありません。しかも、誰かと会っておしゃべりする必要もありません。それを超えて、わざわざ移動の費用と時間を使って、それでも嬉しいという価値を提供できなければ、リアルに未来はない、ということになります。
 
 ICT革命は、価格破壊革命だったと私は思います。
 
 
フィジカルな体験価値が
 人々の消費と行動を引き起こす
 
 
   その劇的変化にさらされたリアル復権の鍵は、バーチャルでは絶対に得られないような突出した体験価値を生み出すことしかありません。そうでなければ、リアルの未来はありません。
 
   生身の体でしか体験でない「フィジカルな体験価値」はリアルならではのものです。よく、「コトの提供」と言われますが、美味しさを五感で味わうとか、生の連帯感を味わえるライブ会場での出来事などです。あるいは、『カップヌードルミュージアム』に行ってマイカップヌードルを作って喜び、SNSでその様子をアップして、みんなから「いいね」と言われること。こういったわざわざ苦労してでも、お金を払ってでも、欲しくなるリアルならではの抜きん出た価値をいかに生み出していけるかにかかっているのです。
 
   例えば、みなさんは応援上映をご存知ですか。映画館は通常、暗い空間で静かに映画を鑑賞する場所です。しかし、応援上映では、ペンライトの持ち込み、コスプレ、声援などがすべてOKです。従来にない応援鑑賞の方式を採用しています。これは『キンプリ(KING OF PRISM)』というアニメ映画に対する応援上映です。
 
 
 
【声援OK!コスプレOK!アフレコOK!劇場版「KING OF PRISM」プリズムスタァ応援上映PV(avex)】
 
 
 
 
  やはり、お金を払って、その場に出向きたくなる価値、これがリアルの未来のための鍵のひとつになるわけです。
 
 
SNSにアップしたくなる
フォトジェニックな話題が鍵
 
 
 その鍵はもうひとつあります。勢いを増すバーチャルとの連携、そして融合を極めていくこともリアル復権の鍵だと思います。
 
 最近は「SNS時代」と呼ばれるように、人とのコミュニケーションがFacebookやLINE、TwitterなどのSNS、交流サイトを通じて展開されるようになっています。そういう時代では、テレビコマーシャルで広告宣伝しても、テレビはあまり見られなくなっているし、情報は溢れているので、広告は効かないと言われています。
 
   ところが、ひとたびSNS上の話題になっていけば、一気にヒットしていきます。そういう意味では、プロモーションの仕方が広告宣伝から話題づくりに変わった。しかも、その話題というのは今、SNS上で展開されているということです。その点こそが、テレビパブリシティが話題作りの鍵となった10年前との大きな違いです。
 
   今は商品や店舗などで、よいものを作ったからといって売れる時代ではありません。むしろ、よいものは当たり前で、その上でどのようにみなさんに知ってもらうのか、興味をもってもらうのか、話題にしてもらうのか、そこが鍵になる時代です。
 
 
 
 

 そのためのキーファクターとして、「『日本初』『業界初』のニュース性」「『今だけ』『ここだけ』『私だけ』という限定三法則」「『異例』『異常』などの驚きのある突出」「『最高』『究極』の本物感」「『最大』『最速』『最短』など一番であること」などがあります。そして、今重要なのはキャッチーなネーミングや、一目で惹かれる「絵写り」です。

 

 それはSNSで拡散する時、絶対条件になるからです。そういう意味では、やはりモノは欲しくないけど、ネタが欲しい。SNSにアップできるような嬉しい体験が欲しい、というのが今の時代です。SNSにアップしたくなる、フォトジェニックな話題を消費したいというのが、今の消費者なのです。

 

 そういう点で、リアルが生き残る道としては「ハイタッチ」「リアル&バーチャル」の2つの道があると私は考えています。「ハイタッチ」はリアルならではの身体で感じるような体験がどれだけ嬉しく提供できるかです。そして、「リアル&バーチャル」。リアルだけでなく、バーチャルの力も借りながら、今までにない新しい嬉しさを提供していくこと。そういうことだと考えています。

 

 

ディスプレイ業界に求められるのは
 儲かる空間を考え、提案すること
 

 

 では、ディスプレイ業界は社会の大きな変化に対して、どのように対応してきたのでしょうか? クライアント側の視点からは、「ディスプレイ会社って、作るのは得意だけど、『どうやったら儲かるか?』や『どうやったら人が集まるか?』といった事業の相談はあまり得意ではなさそうだ」と感じます。
 
 
 
 
「今までのやり方ではなかなか人が集まらないし、目を向けてもらえない。何か新しい集客提案が欲しい」
「どれぐらいの内装費をかけていいんですか?」
「そういう話ではないんだよね」
 
 そういう話が日本全国で語られていると思います。
 
 右肩上がりで伸びていた時代は、今までのやり方をスピーディに、効率よくやっていれば儲かりました。しかし、今の時代は、相当工夫をして他者とは違うことをやらないと儲からない時代が来ました。
 
 ディスプレイ業界も、もっと知恵を使って、単に設計施工で内装を受けるだではなくて、儲かる空間そのものを一緒になって考え、提案し作り出していく。そんなことが求められる時代が来ています。
 
 そういう点で、本日はディスプレイ産業の救世主となる「リバーチャル空間産業」という新しい産業の提案について、これから説明させていただきたいと思います。
 
リアルとバーチャルの融合した
「リバーチャル」という新たな空間
 
 まず、今のリアルとバーチャルの関係を図式化したものです。
 
 
 
 
 リアルとバーチャルは、先ほどのEC市場に見られるようにお互いに市場を奪いあうライバル関係にあります。片方が市場を取れば、片方が市場を失います。現状ではリアル空間産業が侵食されている状況です。
 
 ところが、最近、環境が大きく変わってきています。バーチャルでは、デバイスや、プラットフォーム、アルゴルズムなど技術がどんどん進化しており、リアルと近づくようなサービスが可能になっています。
 
 
 

 最近の社会現象でおなじみなのは『ポケモン GO』です。リアルとバーチャルが混然一体化したかたちで、リアルをもっと楽しくすることが可能な時代が来ています。
 
 人類が誕生してから、この十数年前までは「第1の空間」、つまりリアル空間が支配的な立場にありました。いわゆる実空間です。そこに数十年前にコンピュータが仮想空間という概念をひっさげて登場しました。社会的な影響力を持つようになったのは、この十数年間です。いわゆる「第2の空間」、バーチャル空間です。これが今、世界の空間を支配する2大勢力なわけです。
 
 先ほどご説明した通り、リアルとバーチャルの境界では融合が進んでいます。ここを進化させていくと、そこにリアルとバーチャルが混然一体となった「リバーチャル」という融合空間が生まれます。「リバーチャル」という言葉は造語です。これはリアル、バーチャルという今までの空間とは異なる空間であり、両方の空間の優位性を併せ持ったものであり、高い付加価値を持った「儲かる空間」が生まれるのです。
 
 リアルとバーチャルの融合空間は今、について言えば、イベント会場でデジタルアート作品として観ることができます。それは綺麗ですが、大きな影響力を与えるとは思えません。しかし、間もなく身近な生活空間のさまざまな領域にリバーチャル空間が出現する時代がやってくるのです。
 
 
リバーチャル空間がもたらす
6つの空間イノベーションとは?
 
 
 今日はリバーチャル空間という「第3の空間」がもたらす、6つの空間イノベーションについてご紹介します。
 
①  動く空間
 今までの固定的な空間ではなく、動く空間です。

 
【LEDディスプレイウォール『Amazing Lobby Video Wall Display』(米国 Salesforces社) 】

 
 
 本物の滝を流せば、今までも空間を動かすことはできました。それには防水工事やポンプなどの巨額の設備投資と、排水などのメンテナンスなど様々な労苦とコストがかかりました。しかし、こうした映像技術を使えば、簡単にできてしまいます。コイの滝のぼりを演出することも簡単です。
 
 
②  バリアブルな空間:A
 これは滝の壁と同じ壁です。
 

【LEDディスプレイウォール『Salesforce.com Pacman lobby wall』(米国 Salesforces社)】

 
 
 パックマンの画面になっています。このようにコンテンツを差し替えすれば、簡単に着せ替えができる「バリアブルな空間」です。広告も簡単にインサートできるので新たなキャッシュポイントを作ることができます。
 
 
②   バリアブルな空間:B
 これもバリアブルな空間の例です。
 

【プロジェクションマッピング『Mr.Beam - Living Room』】

 
 白い部屋です。可愛い部屋、シックな部屋など部屋を簡単に七変化させることができます。
 
 
③  コミュニケートする空間: A
 3つ目は「コミュニケートする空間」です。ナムコの「屋内砂浜 海の子」です。
 

【インタラクティブ・プロジェクションマッピング『屋内砂浜海の子』(ナムコ) 】

 
 子どもたちが一生懸命、魚を獲っています。獲ろうとすると魚が逃げるなど、空間と一緒に遊ぶことができるのです。海や魚は映像で投影されていますが、そのベースになっている砂浜は、本物の砂です。こういったリアルとバーチャルが混然一体化したことで、新しい嬉しさ、楽しさが生まれます。
 
 
③  コミュニケートする空間: B
 これは、『お絵かき水族館』です。
 

【スキャニング・プロジェクションマッピング『お絵かき水族館』(チームラボ/teamLab)】

 
 チームラボが制作したものですが、子どもたちが塗り絵した魚の絵をその場でスキャンするとすぐに、壁に投影された水族館の中に放たれます。「あ、この魚は私の!」という楽しみがあり、子どもたちを引きつけて離しません。眺めるだけの空間ではなく、遊んだり、はしゃいだり、交流したりすることができます。こうした、「コミュニケートする空間」が第3の特徴です。
 
 
④  パーソナライズされた空間
 今日は友達の誕生日だから、レストランにステーキを食べにいこうという設定です。
 

【テーブル・プロジェクションマッピング『Le Petit Chef (ル・プティ・シェフ)』(ベルギー Skullmapping社)】

 
 
 行ってみると、たった5センチの小さなシェフが肉をその場で料理をしてくれる。プロジェクションマッピングが終わると本物の肉が出てくるというオチになっています。こんなレストランができたら、何かの記念日には行ってみたいですよね。これのデザート編もあります。
 
 
⑤   虚実が融合した空間: A
 虚構と現実が融合した空間もリバーチャルなら可能です。3DCGで出来た虚構のアイドル、初音ミクのコンサートです。
 

【ディラッドボード(透過スクリーン)『初音ミクライブワールドイズマイン』(東京・お台場「ゼップ東京」) 】

 
 実際のライブ会場でのコンサートの模様です。バックで演奏しているのは本物のミュージシャンたちです。ステージも本物です。初音ミクはバーチャルな、投影された存在です。
 
 
⑤ 虚実が融合した空間:B
 これはマイケル・ジャクソンが亡くなってずいぶん経った、平成26(2014)年のビルボードの授賞式で行われたパフォーマンスです。
 

【ホログラムステージ『Billboard Music Awards 2014 授賞式』(米国ラスベガス) 】

 
 観客が涙を流すほど、虚構にいてもリアルに存在するように見えたことでしょうね。「ホログラムステージ」という手法を使っていますが、バックダンサーはすべて本物です。ありし頃のマイケル・ジャクソンの映像を使って、見事に彼のパフォーマンスを再現したものです。
 
 
⑥ドラマのある空間:A
 空間にドラマを生み出すこともできることをご紹介します。
 

【ダイナミック・プロジェクションマッピング『Gallery Invasion』(ベルギー Skullmapping社)】

 
 
 ギャラリーに小人の侵略者が来ました。すると、ギャラリーに飾られた絵が反応します。ミュージアムや展示会のガイドも、バーチャルなものの力を借りることで新しい魅力が生み出せるのではないでしょうか。
 
 
⑥ドラマのある空間:B
 これもドラマのある空間です。
 

【3Dプロジェクションマッピング『crazy living room !』(仏 Ergo Sum社)】

 
 
 こういう特撮映画のようなことがリアルタイムな仕掛けで出来てしまいます。
こんなドラマチックな仕掛けがあれば、みなさん体験したがるのではないでしょうか。
 
 以上のようにリバーチャル空間は、
 
①   動く空間
②   バリアブルな空間
③   コミュニケートする空間
④   パーソナライズされた空間
⑤   虚実が融合した空間
⑥   ドラマのある空間
 
という6つの空間イノベーションをもたらすのです。
 
 リバーチャル空間では、従来の固定的な内装材で作られた空間とは違って、ダイナミックに躍動する空間が誕生するはずです。そういった空間の進化をもたらしてくれるのがリバーチャル空間なのです。
 
 
グローバル市場への可能性も秘めた
リバーチャル空間産業の優位性
 
 
 では、リバーチャル空間は産業としての可能性はどうなのでしょうか?
 
 まずは、抜群の話題性と集客力があります。ダイナミックに動くフォトジェニックな空間は、今のSNS時代にはもってこいです。
 
 次は一瞬で着せ替えができ、リニューアルができることです。短期間、かつローコストでのリニューアルが可能であり、イベントの開催も可能になります。
 
 第3はさまざまな情報の差し替え、インサートが簡単にできるので、広告メディアとして活用すれば、キャッシュポイントが増えていきます。
 
 第4に個人、個人のお客様、いわゆる顧客対応サービスが可能になります。「今だけ、ここだけ、私だけ」のパーソナルなおもてなしを受けているという喜びの提供がシステマチックに行えるようになります。しかも、デジタル化されるので、それを1 to 1マーケティングというかたちで可視化することも容易にできます。
 
 こういった特性のあるリバーチャル空間産業は、今はまだ黎明期であり入り口にさしかかっているだけですが、これから大きく成長する市場になるはずです。当然、日本だけではなく、グローバルな市場へ打って出ることが可能です。ぜひ、ディスプレイ産業に携わる方々にはトライしていただきたいと思います。
 
 
「リアル&リバーチャルな
 空間プロデュース」が不可欠な時代に
 
 
 では、空間設計はどのようなかたちに変わっていくのでしょうか。
 
 先ほども述べたように、リアルな空間が生き残るには、ハイタッチな身体で感じること、そしてバーチャルと連携融合したリバーチャルな価値創造という2つの価値を磨いていくことが肝要です。
 

 

 
 リバーチャル空間が成長したからといって、従来の内装設計・施工がなくなるわけではありません。そういったものと、デジタルを渾然一体化させ、融合させていくわけですから、「リバーチャル・コンテンツ」の制作が不可欠になります。これからの時代、空間設計に携わる方々は「リアル&リバーチャルな空間プロデュース」が求められると思っています。
 
  最後になりますが、“Let’s change the WORLD”、世界を目指しましょう、と呼びかけさせていただきます。今までの内装提案型の、ちょっと失礼な言い方ですが、「施工屋」から脱却して、「事業提案型の空間プロデューサー」になりませんか、ということです。
 
  また、現在はクロスや塗装といった従来型の空間工法とビジネスが主流ですが、リバーチャル空間工法は必ず花開きます。今こそ、大きくスイッチしていくタイミングです。
 
  そういったことを戦略的な武器にしながら、縮小する今の日本市場から巨万の富を生み出す世界に対して打ってでませんか。それがみなさんへの私の提言です。私自身もこういった提案を続けていきたいと思います。ともにがんばりたいと思います。ありがとうございました。

②Conference
3)パネルディスカッション

 
 基調講演に続くConference後半のテーマは『ファーストペンギンに学ぶリアル空間ビジネスの創造』。池澤氏の進行のもと、『リアル空間産業の未来ビジョン』のテーマでパネルディスカッションを行い、最新の事業を紹介しながら、リアル空間ビジネスの展望を語り合いました。
 
『ファーストペンギンたちが創った先進プロジェクト紹介』
まず、パネラー3氏の手がけたプロジェクトが動画にて紹介されました。
 
『なぞともCafe』
リバーチャルで施設事業の制約を超える
〜謎解きポータルメディア実現への挑戦〜
 

  

人気の「謎解きゲーム」を、常設店舗で遊べる「なぞともCafe」。
仲間と力を合わせ、頭と体をフル活用して、謎解きに挑む。
開業から2年以上たった今も右肩上がりの集客を続ける異例の施設だ。
開発したのはナムコ。日本の遊びを創ってきたアミューズメント企業だ。
 
「なぞともCafe」に来場してゲームに熱中するのは20代の若者たち。
ナムコは、いかにこの世代を巻き込み、継続的な集客を可能にしているのか?
 
ゲームセンターなど、ロケーション施設事業はリアルな現場こそが全てだった。
インターネット、ネットゲーム、スマホゲーム。バーチャルは戦うべき敵だ。
 
だが、ナムコが挑んだのはリアルとバーチャルの融合による事業構築。
新たなアミューズメント業態を生み出すための「リバーチャル構想」だった。
選んだテーマは「謎解き」。ゲームセンター離れが著しい20代が好むリアルゲームだ。
 

 
描いたのは、リアルとバーチャルの段階的な融合戦略。
 
まず、開設したのはポータルサイト「なぞとも」。全国の謎解きイベントを無料で紹介し、ファンたちに「なぞとも」ブランドを認知させた。
 
無料でイベント紹介する「なぞとも」サイト。その活動は、謎解きゲームを制作する団体や個人とのネットワークも構築した。
 
東京・新宿に開業した「なぞともCafe」。店内に設けられたのは10室のミッションキューブ。それぞれのキューブでは、サイトを通じて関係を作った制作者団体の謎解きゲームを提供したのだ。
 
そして「なぞとも」サイトで、「なぞともCafe」のコンテンツを紹介。サイトのファンが店舗にも押しかけ、リアル空間のファンになっていく。
 
サイトと店舗の垣根を超え、人と情報が行き来する。
リアルとバーチャルが融合した事業モデルこそが継続的な集客を可能にした。
 
ネット時代の店舗戦略で新たなモデルを生み出したナムコ。
その立役者、新規事業推進部 ゼネラルマネージャー 浦田健一が登場する。

『妖怪ウォッチヨロズマート』
2.5次元ショップ降臨
〜ファンが共感するリアル店舗の作り方〜
 
福岡に誕生した妖怪ウォッチのキャラクターショップ、『ヨロズマート福岡総本店』。
作品には妖怪たちが棲む「妖魔界」が登場する。このショップでは、その世界観を再現した。
 
 
 
 
店舗の魅力が全国からファンを惹きつけ、長い行列ができた。開業からの3日間で購入者は3,000人。さらに最初の1カ月では、1万6,000人もの人々がグッズを買い求めた。
 
ヨロズマート福岡総本店をプロデュース、運営するのはビッグフェイス。
妖怪ウォッチの著作権を管理する企業だ。
 
店舗で熱狂する子どもたち。ショップから生まれる作品への共感。
その源泉はどこにあるのか?
 
世にキャラクターショップは数多くある。
だが、その目的はグッズの販売。あくまで物販店舗でしかない。
 
ビッグフェイスが福岡総本店で実現しようとしたのは「2.5次元ショップ」だ。
訪れるファンが作品世界を「体感」し、世界観に「没入」する。
その体験が作品への深い「共感」を生み、ファン同士の「交流」をも生むのだ。
 
 
2.5次元ショップを実現するために挑戦したのは3つの表現。
 
まず、子どもたちが作品を体感できる世界観の再現。店舗内を立体的な造形物で装飾し、映像や音響の装置も駆使しながら、限界まで世界観を表現した。
 
店舗のスタッフもなりきり接客で作品の世界観を盛り上げる。スタッフ教育を徹底して、販売のスタッフではなく、その世界の一員である意識を育てた。
 
さらに、ファン同士の交流の場を提供。物販エリアとは別にゲームコーナーが設けられた。子どもたちがDSを持って、妖怪ウォッチのゲームで一緒に遊べる空間までをも実現しているのだ。
 
グッズを買うだけでなく、作品世界の体験が得られる2.5次元ショップ。
ヨロズマート福岡総本店は、妖怪ウォッチの新たなファンを創出し続けている。
 
アニメ世代に向けた2.5次元戦略を世に提示したビッグフェイス。
そのビジョンを牽引する代表取締役 水野英明が登場する。
『肉フェス・餃子フェス』
すべては集客のために
〜シェアの力が人を呼ぶ〜
 
 
肉料理に特化するフードイベント、肉フェス。
ライナップは個性派ぞろい。国内の有名店がこぞって出店する。
年間の動員数は100万人以上。まさに、食のモンスターイベントだ。
主催するのはコンサートなども手掛けるイベント会社のAATJ。
 
消費者の心を動かし、思わず出かけたくなるイベントを作る。
その巨大集客術の秘密はどこにあるのだろうか?
 
これまで、集客手段の王道といえば、マスコミ4媒体での広告宣伝だった。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌。
巨額の広告費をかけ、大勢の人々にイベントを告知する。
 
だが、AATJが主軸に置いたのは、
ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどのSNS。
 
AATJでは、イベントの企画立案から開催の現場に至るまで、
SNSによる情報拡散を仕掛け、実践し続けた。
 
 
AATJが、SNS活用の豊富な経験から導き出したのは、4つの具体的な戦略。
 
料理の特徴が想像でき、匂いや食感まで伝わってくるような「ネーミング」。
 
思わず写真を撮って、SNSにアップしたくなるような「フォトジェニックさ」。
 
友達や家族で来場し、様々な料理を買って、一緒に食事を楽しむ「仲間とのシェア」。
 
そして、ジャンルを超えた協力関係で、肉フェスの情報を拡散する「コラボレーション」。
 
こういった戦略によって会場から拡散される莫大な量の情報。
その巨大集客ノウハウは、肉フェス、さらには新たな「餃子フェス」も成功させた。
 
SNS時代の集客戦略を自在に操るAATJ。
その仕掛け人、泉谷政達が登場する。

パネルディスカッション
『リアル空間産業の未来ビジョン』
 

パネリスト
浦田健一氏(㈱ナムコ 新規事業推進部ゼネラルマネージャー)
水野英明氏(㈱BIGFACE 代表取締役社長)
泉谷政達氏(AATJ㈱ マーケティング本部 営業・事業推進部長)
 
モデレータ
池澤守氏(㈱池澤守企画 代表取締役)
 
コンダクター
入谷義彦(にぎわい空間研究所 主席研究員)
那須野純志(にぎわい空間研究所 主席研究員)
 
 
 
>>>> 事業の背景と狙いについて
 
>>>> テーマ01:リアル空間ならではの価値とは何か?
 

 

 
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